モニエル瓦とは?セメント瓦との見分け方と塗装で失敗しないための注意点
「業者に『お宅の屋根はモニエル瓦ですね』と言われたけれど、普通の瓦と何が違うの?」 「セメント瓦とモニエル瓦って同じもの?」
1970〜90年代に建てられた家でよく使われたモニエル瓦とセメント瓦は、 見た目が陶器の瓦とよく似ているため、違いが分かりにくい屋根材です。 しかし実は、塗装のやり方を間違えると数年で塗膜がはがれてしまう、 取り扱いに注意が必要な屋根材でもあります。
この記事では、モニエル瓦とセメント瓦の違いと見分け方、 塗装で失敗しないための注意点、費用のめやす、 そして「もう塗装で持たせられない場合」の選択肢まで解説します。
モニエル瓦とは?セメント瓦との違い
どちらもセメントを主原料にした瓦で、粘土を焼いた陶器瓦(和瓦)とは別物です。
| モニエル瓦(乾式コンクリート瓦) | セメント瓦 | |
|---|---|---|
| 主原料 | セメント+砂利 | セメント+砂 |
| 表面仕上げ | 着色スラリー(セメント着色層)+クリヤー | 塗装仕上げ |
| 小口(瓦の端の断面) | 凹凸がありゴツゴツしている | 比較的なめらか |
| 主な普及時期 | 1970〜90年代 | 1960〜80年代 |
| 現在 | 製造終了 | ほぼ製造終了 |
モニエル瓦は旧・日本モニエル社などが製造した瓦で、「乾式コンクリート瓦」とも呼ばれます。 最大の特徴は、表面に**「スラリー層」という着色セメントの層**があること。 これが後述する塗装の失敗の原因になります。
なお、どちらも現在は製造終了しています。 割れたときに同じ瓦での差し替えができないことが、 メンテナンスを考えるうえで重要なポイントです。
モニエル瓦とセメント瓦の見分け方
いちばん確実な見分け方は、瓦の小口(端の断面)を見ることです。
- 小口がゴツゴツと凹凸している → モニエル瓦
- 小口が比較的なめらか → セメント瓦
軒先やケラバ(屋根の端)の瓦なら、地上や2階の窓から双眼鏡でも確認できることがあります。 ただし、屋根に上っての確認は絶対にやめてください。 瓦の上は滑りやすく、 屋根のDIYが危険な理由の記事で解説しているとおり 転落事故のリスクが高い場所です。判断がつかなければ業者の点検で確認してもらいましょう。
「そもそもうちの屋根が瓦なのかスレートなのか分からない」という方は、 屋根材の種類と見分け方の記事から 確認するのがおすすめです。
劣化のサインと寿命のめやす
モニエル瓦・セメント瓦の本体の寿命は30〜40年程度といわれますが、 表面の防水機能(スラリー層・塗膜)は10〜20年程度で衰えます。 次のようなサインが出たらメンテナンスの検討時期です。
- 色あせ・まだら模様が目立つ
- コケ・カビ・藻が広がっている
- 表面の層が粉っぽく崩れる、触ると色がつく
- 瓦のひび割れ・欠け・ズレ
- 棟(頂上部)の漆喰の崩れ
セメント系の瓦は素材自体に防水性がなく、 表面の保護が切れると水を吸ってもろくなっていきます。 凍結と融解を繰り返す寒い地域だけでなく、 関西でも放置すればひび割れ・雨漏りへ進行するため、サインを見つけたら早めの点検が安心です。
なお、棟の漆喰の崩れは陶器瓦と共通のメンテナンスです。 瓦屋根の漆喰補修の記事もあわせてご覧ください。
モニエル瓦の塗装は「スラリー層」に注意
モニエル瓦の塗装でもっとも重要なのが、スラリー層の処理です。
スラリー層は経年で劣化し、粉状にもろくなります。 その上からそのまま塗装すると、 塗料がスラリー層ごと数年ではがれてしまうのです。 「塗装したのに2〜3年でボロボロはがれてきた」という失敗の多くはこれが原因です。
失敗しない塗装の手順は次のとおりです。
- 高圧洗浄を徹底する:劣化したスラリー層を洗い落とす。 通常のスレート屋根より入念な洗浄(2回洗いなど)が必要
- 専用シーラー(下塗り材)を使う:モニエル瓦対応の浸透性シーラーで下地を固める
- 専用塗料で上塗りする:塗料メーカー各社からモニエル瓦・セメント瓦対応の 屋根用塗料が出ています
つまり、「モニエル瓦の施工経験があるか」が業者選びの重要ポイントになります。 見積もりの際は次を確認しましょう。
- モニエル瓦(乾式コンクリート瓦)と認識したうえでの見積もりか
- 高圧洗浄の工程・回数
- 下塗り材(シーラー)の製品名が明記されているか
安さだけで選んだ業者がスレート用の塗料をそのまま使い、 数年後にやり直しになれば、かえって高くつきます。 業者の見極め方は悪質業者の見分け方の記事も 参考にしてください。
塗装費用のめやす
モニエル瓦・セメント瓦の塗装は、下地処理が増えるぶん 一般的なスレート屋根の塗装よりやや高めになる傾向があります。
- 塗装単価のめやす:1m²あたり約3,000〜4,500円(下地処理・下塗り含む)
- 30坪前後の戸建て:足場代込みで約50〜90万円が一つのめやす
屋根塗装の相場全体の考え方は 屋根塗装の費用相場の記事で詳しく解説しています。
塗装で持たせられない場合の選択肢
ひび割れや欠けが多い、下地まで傷んでいる、という段階になると、 塗装では守り切れません。製造終了で差し替え用の瓦も手に入りにくいため、 選択肢は主に次の2つです。
- 葺き替え:既存の瓦を撤去し、軽い金属屋根などに交換。 屋根が軽くなり耐震面でも有利です
- カバー工法:条件によっては選べますが、瓦屋根は凹凸が大きいため 基本的に葺き替えが選ばれます(カバー工法の記事)
費用は屋根修理の相場の記事でまとめているとおり、 葺き替えで約100〜260万円が一つのめやすです。 「あと何年住むか」も含めた判断の考え方は 塗装と葺き替えどっちがいいかの記事で解説しています。
アスベストについて
モニエル瓦は基本的にアスベスト(石綿)を含まないとされていますが、 古いセメント瓦の一部には含まれている製品もあります。 撤去・処分の際は業者による事前調査が必要です。 アスベストの考え方はスレート屋根のアスベストの記事が 参考になります(調査・処分の枠組みは共通です)。
まとめ:モニエル瓦は「知っている業者」に頼むのが最重要
- モニエル瓦・セメント瓦はセメント系の瓦で、現在は製造終了
- 見分け方は小口の凹凸(ゴツゴツ→モニエル瓦)
- 塗装はスラリー層の処理と専用シーラーが必須。 やり方を間違えると数年ではがれる
- 劣化が進んだら**葺き替え(軽い屋根材へ)**が現実的な選択肢
モニエル瓦のメンテナンスは、屋根材の知識と施工経験がある業者に頼めるかどうかで 仕上がりが大きく変わります。
みんなの工務店では、関西6府県の地域の工務店から無料でまとめて見積もりを取れます。 「モニエル瓦の施工経験はあるか」「下塗り材は何を使うか」を 複数社に聞き比べて、安心して任せられる1社を見つけてください。
関連する工事メニュー
関連記事

屋根材の種類と選び方まとめ|スレート・瓦・ガルバリウム・トタンを徹底比較
屋根材の種類(スレート・日本瓦・セメント瓦・ガルバリウム・トタン・アスファルトシングル)を寿命・価格・重さ・メンテナンス周期で比較。葺き替え時の選び方の考え方も解説します。
2026-09-07
ガルバリウム鋼板の屋根とは?メリット・デメリットと費用、スレート・瓦との比較
屋根リフォームの主流になったガルバリウム鋼板。耐久性・軽さなどのメリットと、雨音・断熱などのデメリット、カバー工法・葺き替えの費用相場、他の屋根材との比較を解説します。
2026-08-12
スレート屋根とは?寿命・耐用年数と劣化サイン、メンテナンス方法を解説
戸建てで最も普及しているスレート屋根(コロニアル)の寿命・耐用年数、劣化のサイン、アスベストの注意点、塗装・カバー工法・葺き替えの選び方をわかりやすく解説します。
2026-07-17
屋根修理の相場はいくら?工事内容別の費用一覧と安く抑える3つのコツ
屋根修理の相場を、部分補修から塗装・カバー工法・葺き替えまで工事内容別の一覧表で解説。瓦・スレート・トタンなど屋根材ごとの傾向、費用が変わる要因、火災保険や補助金で安く抑えるコツ、見積もりの見方までまとめました。
2026-09-23